代表者あいさつ

 このたび、本研究会の代表を務めることになりました。ふり返れば、本研究会には、大学院生の頃から事務局員としてかかわり、時には研究報告をする場として貴重な機会が与えられました。いずれも私にとっては、かけがえのない経験となっています。正直、代表としてどこまでお役に立てるかどうか心もとない状態ですが、皆さまのお力添えをいただきながら精一杯取り組む所存です。どうかよろしくお願い申し上げます。

 さて、本研究会は、「農業協同組合の理論的・実践的諸問題を研究討議し、農協運動の発展に寄与すること」を目的に、昭和34年(私が生まれた年でもあります)に設立され、60年以上にわたって活動を継続し今日に至っています。本研究会の初代代表者であった桑原正信先生は、“農協に勤めるものは農協の実情に通じてはいても農協について深く考えぬく機会に乏しい、行政に携わるものや研究者は農協の現実を知らなさすぎる、だからこそそれらの人々が一つの研究会をつくり、自由な立場で論議することが大事だ”と研究会の設立にあたって述べておられます。

 本研究会の特徴は、JAの役職員を中心とした実践家と研究者とが一緒になって報告と討議を行い、取り組むべき諸課題を明らかにし、解決に向けた糸口を見出すことにあります。抽象的な理念論にも追随的な政策論にも走らず、現場の実態を踏まえて、問題を深く掘り下げて実践的に考えることを大切にしています。同時に、JA自体が抱えている直接的な問題だけではなく、JAを取り巻く事業・経営環境をどう捉えるのか、少し先を見据えながら議論していくことも、これからは大切でしょう。

 協同組合としてのJAが、組合員の営農も含めたより良い暮らしと持続可能な地域社会を実現するために、いかなる役割を発揮していくのか。JAのアイデンティティ(存在の証し)が問われています。JAが、組合員にとっても地域社会にとっても存在価値を発揮できるように、本研究会が少しでも貢献できればと考えています。

 皆さまのご理解とご協力の程、どうかよろしくお願い申し上げます。

 

 令和4年4月